第29回こうべ全国洋舞コンクール決選結果

昨日こうべコンクール決選に太田菜月ちゃん出場しました。


261人中決選に残れたのは35人、

いつも入賞圏にいるダンサーでも残ることが厳しい世界(*_*)

選んで頂けたこと、本当に感謝です。


ここしばらく故障続きな所に前日の準決選時に更に右足を痛めてしまった菜月。

飲み続けている痛み止めもすでに効かない状態。

診察に行く猶予もなく骨に支障が出ているのかどうかも分からないでいました。

本人にしか分からない境地、1人での闘いだったと思います。


場当たり前の練習途中、彼女は泣きながら楽屋に戻ってきました。

痛みに泣いているか、思うように動けないことに泣いているのか、、、、とにかく不安が爆発していることには違いない。

私は寄り添うことしか出来なかった訳ですが、しばらくすると彼女は何かを振り切るようにレッスン場に戻っていきました。

実は私達に『棄権』の意図を言いに戻ってきたんだそうで。後から聞きました。

私自身もそのタイミングで同じ事を考えていました。今日舞台に立つことは無理かもしれない。舞台上でさらに大きな怪我を負い踊れなくなったら・・・葛藤でした。


でもあの瞬間、何かを思って戻っていった菜月ちゃんの想いが全てだ、と腹をくくり『棄権』という言葉は封印しました。


音のQ出し、本当は朝からヘルプに来てくれた百合奈先生に任せるつもりでした。が、この状況で私が舞台袖に着かない選択はない、後悔する、と場当たり後に決断しました。

下手待機の私、上手待ちの菜月ちゃん、、、手を振っても気がつかないいつもと全く様子の違う菜月。邪魔しないでおこう。彼女を信じよう。これまでに経験したことのない緊張感でした。


いつもより力をこめてきっかけQを出し、後は『どうかこれ以上痛みがでませんように』『これ以上の故障に繋がりませんように』とひたすら祈るばかり。長い時間でした(T_T)

袖から出る瞬間の勇気ある1歩、回り切れなかったトゥール後の強い背中、立っているのもやっとなのに舞台を駆け回るパワー、舞台をはけるまで辛い顔を見せずに役を演じた心意気。


なんて子だ・・・素晴らしい(T_T)

その動き1つ1つに感動し、私は涙が抑えられませんでした。


審査員の先生方、客席の方々、他の出場者から見れば【ただの失敗】だったのかもしれないけれど、私達にとっては感激のトゥールであり最高のジャンプでした。


菜月ちゃんは舞台からおりた瞬間から嗚咽が止まらず。さっきまであんなに跳んでた人とは思えない引きづり足。歩くのもやっとで楽屋に戻りました。


結果は今回入賞には届きませんでしたが、やれる事以上の事を舞台でやってくれた菜月ちゃんを私は誇らしく感じますし、敬意を評します。

今回だけでなくいつも感じます。
彼女は予選〜決選へとどんどん進化していく集中力と自分の弱さを自覚出来る強い精神力の持ち主です。コンクールに挑戦する意味をしっかりと理解し、自己を高めた結果、後から賞がついてくる、ということを体現してくれる人です。賞を取りたい、となれば自分を高めるしかないし、これでOKというラインなく高め続けないといけない。入賞したいです!と言いながら稽古しない子もあれば、経験のために出られるだけでいいです!といいながら黙々と苦手を克服する子もある。結果は後者についてくる。そもそもコンクールへの挑戦があっても無くても同じこと。ただし『自分に正直に発言していること』が大前提だと最近切に感じます。本当は賞が欲しかった、本当は賞なんて目指してなかった、本当はコンクール出たかった、、、後から思うのは全く持って何も生まれない(*_*)

自分自身に対して欲張って欲しい。自分自身に期待して欲しい。

賞が欲しい!メダルが欲しい!
これはとても分かりやすいので私自身目指して欲しいと言いますがその裏にある想いを理解する所まで成長してくれたらなお嬉しい。


今回のこうべコンクールは予選前から色々ありました。進学でしばらくコンクール出場をお休みする子、腕を骨折して1ヶ月動けず本番前2週間弱しか稽古出来なかった子、レッスン中に転倒し足首を痛めてドクターストップが掛かり今後のバレエ人生を考え悩みに悩んで欠場を決めた子、新しい踊りに変更し2ヶ月の稽古期間で挑んだ子、ひたすら同じ曲を稽古し煮詰まり気味な子、、それぞれにそれぞれの想いを持って、そして指導陣もそれぞれに想いを馳せこうべコンクールを迎えました。

それぞれが決断したことがそれぞれにプラスをもたらすよう、後はそれぞれの心の持ち様に掛かっています。私自身も、です。けしてそれを言い訳にして逃げることのない様に。。




菜月ちゃんを見習って怪我をする位頑張れ!
ということではありません。
怪我はない方がいいに決まっています。自己管理もとても大切です。


以下菜月ちゃんからのメールです。

【今回のコンクールで体調の自己管理の大切さを学ぶことができました。
もちろん入賞できなかったことは悔しいですが棄権せず諦めないで踊りきれたことができとても達成感があります!
場当たり前に一度泣きながら戻ってきたときに先生に棄権しますと言おうか迷って来たんですけどやっぱり朝早くから手伝ってくれたお母さん、先生の期待も裏切りたくなかったしここで諦めたら自分は一生後悔すると思うし、我慢したらなんとかなるんじゃないか!と思い棄権という言葉をぐっと飲み込みました。
技術面でもまだまだ弱くアンデダントリプルは結局一度も回ることが出来ませんでした。挑戦はしたんですけどとても勢いのあるダブルで終わりました(^_^*)
でも踊りながら冷静に自分の踊りを見つめながら踊ることが出来ました。
本当にお忙しい中ご指導していただき教室も開けていただきありがとうございました!
これからもレッスン厳しくよろしくお願いします!
今は足を頑張って治します。】

人の想いを感じながら、最終的には自分で判断し、自律出来るところ、好きです。

ちっちゃい時からずーっと見ていてまだまだ幼い所がいっぱいですが(^^;;

バレエには不向きな内足にも関わらずここまで成長出来たのは努力の証。やれば出来る!と思わせてくれる人。彼女の前で『諦める』なんて事は絶対口に出せません。

若い生徒ちゃん達。
先輩達の華々しい所に目が行きがちですが、みんな努力努力努力してます。悔しい思いもいっぱいしてます。その分バレエの素晴らしさもいっぱい知っています。勇気を持って頑張ってもらいたいです。

何より私自身この仕事に携われることを幸せだ、と改めて感じるこうべコンクールでした。はなやまバレエスクールに居られることに感謝します。



※涙が止まらず、立てない状態で撮った写真。。